2002年12月
2002年12月27日

 一昨日久しぶりにお芝居を見ました。竹中直人の会「月光のつつしみ」です。世評が高かった芝居だったのですが、見てがっかりしました。桃井かおりはよかった。ちょっと外れた中年女性という役どころで、リアリティがある。
 しかし、その他の役が変です。竹中はいつもあたふたしていて、日常の彼そのままという感じ。ラストに舞台挨拶するときが、一番よかった。ワキを固める若い役者たち、とくに女優がよくない。不安な主婦とか妊娠してヒステリーになる若い女性とかを演じているのだけど、これではキャラクターが薄っぺらで漫画みたいですね。実際の人間はもっと複雑だよ。
 しかし、これは台本の責任もあります。桃井のお姉さん以外のキャラはおざなりにしか書いていない。しかし、台本で一番不満なのは、余計な部分が多すぎることです。センチメンタルな思い出話が多くて、メイン・コンセプトが近親相姦的愛情なのか、それとも他者と関わろうとする意志なのかわからないので、にごった印象しか残らない。
 こういうのを「静か系」の芝居というらしいけど、静かな中にテーマがくっきり浮かんでくるように作るべきだと、と思います。それが、混乱するのでイライラしてしまう。
 こんな芝居を見ると、日本では「大人の芝居」はまだまだ発展途上という感を強くします。「高齢社会」として成熟するのは、まだ何十年か先のことでしょうね。

ところで
今、代ゼミで早大小論文の講座を教えてます。この時期になっても一回も書いた事のない人が何人かいました。小論文の準備、もっと早く始めようね。

2002年12月24日

 みなさん、こんにちは。ボカボの吉岡友治です。きょうから、「三日坊主通信」をはじめます。どうぞよろしく。


 蟻の巣を二時間見続けて日射病になったり、本を読み続けお尻が擦り切れたことはあったけど、子供のころから、日記だけは続かない。正月に日記帳を買うのだけど、すぐイヤになってしまうことの連続。
 でも、今度は何とか続けるようにしたい。この通信も、三日坊主にならないように自戒して、書き続けます。三日ごとには更新するつもりですので、はらはらしながら見守ってください。映画とか本とか、面白そうなものも紹介したいと思っています。
 ただ今回は、おすすめの映画はなし。ハリー・ポッターも見たのだけど、「魔女の宅急便」の方が数段よかった。だいたい私は敵役(かたきやく)がちゃっちい映画は嫌いです。ハリーは魔法学校に入る前から有名人だから、嫉妬されるのは当然だし、敵役がいかにも憎まれそうな性質をすべて集めたみたいなキャラクターで、あまりにも薄い! 宮崎駿の映画に出てくる敵役のリアリティには及びもつかない。「風の谷のナウシカ」も「もののけ姫」も敵役が皆どこか複雑な影があって興味を引かれる。「千と千尋」の婆だって、よい婆と悪い婆の双生児キャラクターという複雑さ!
 やっぱりイギリスの子供より、日本の子供のほうがずっと世界認識は成熟しているのかな。ただ、そのあまりにも単純な構造の映画を、ハラハラ、ドキドキしながら、最後までけっこう楽しんでしまった私は何だったのだろう…

 ところで、僕が新しく書いた小論文の参考書が出版されました。
書名は『吉岡の なるほど小論文 講義10』で、桐原書店という出版社からでてます。本屋さんで見かけたらのぞいてみてください。


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