2004年12月
12月13日

 東京は、やっとコートが必要な気温になり、冬らしくなってきました。家の前の銀杏並木もすっかり葉が落ちました。12月初めまでは、とても暖かくて上着がいらなかったのです。でも、これは本当に「地球温暖化」の影響なのでしょうか?

 法科大学院もそろそろ国立の発表時期ですね。東北大学法科大学院の二次試験に受かったという知らせなど早々と届きました。面接頑張って下さいね。そういえば、新聞で教育Gメンの話を読みました。授業内容からテストまで、学生と話し合って、大学院の授業の質を判定するのだとか…。

 朝日新聞に書いてあったのは、國學院の話でしたが、私もいろいろ去年入った学生から事情を聞いています。法科大学院は、それなりにどこもちょっと問題を抱えているみたいですね。でも、一年目だったから仕方ないのじゃないかな? W大学の教授などは、学生に「君たちは所詮試験材料だから」なんて言っているそうです。

 私の経験から言うと、そういう制度が確立していない状態の時にこそ、個人の力が発揮されるものです。司法試験の合格者数でも、最初に法科大学院に割り当てられた数字が変えられました。これは学校・学生たちの強い反発があったからだそうです。また、学生からの要望で講座の増設があったりもしたようです。制度が不安定だからこそ、改善する可能性が残されているし、制度を作った側にも改善すべきという意志がある。その意味で、受益者である学生たちの意見が、制度を作っていく面もあるわけです。安定してしまうと、依存心が出てしまう。危機の時にこそ、力が伸びるという法則はここでも当てはまるのです。法科大学院一期生がんばれ! 来年入ろうと思っている人も雑音に惑わされず、学習を進めましょうね。

 ボカボでは、来年3月刊行を目指して、法科大学院「適性試験」第一部推理・分析力のための参考書を準備しています。適性第一部が苦手な人のために、論理学の初歩をかなりくわしく解説しました。取っつきにくいと思われていた内容を、明快な解説とビジュアルの工夫でぐっと近づきやすい内容にしています。現在の所、このようにロジックを扱った本はどこにもありません。きっと役に立つと思いますよ。ボカボのサイトでもこの方法に基づく「適性試験コース」をただいま準備中です。予定より遅れていますが、本の出版と合うように開設するつもりです。もう少しお待ち下さい。

 大学受験者のために、また小論文の初歩を学びたい人のために、小論文の「頻出テーマ」をわかりやすく解説した参考書「吉岡のなるほど小論文 頻出テーマ16」が出版されました。基本知識に不安がある方、何を書いていいかよくわからない方などには特にお勧めです。情報社会とは言いながら、大人でも現在社会でおこっている事柄に対して正確な知識を持っている人は意外と少ない。報道ニュースなどの断片的知識のシャワーを浴びて、知ったつもりになっているからでしょうね。簡単に読めるよう工夫してありますから、「書けないな」と思ったときに気軽に手にとってください。きっと得るところがあるはずです。

12月6日

 もう今年も後一ヶ月を切りました。家の前の銀杏並木はやっと9割方が黄色になったところ。いつもならとっくに葉は落ちて冬景色になっているところです。妙に暖かにだけでなく、自然の様子から言ってもどうしても冬という感じがしません。

 今年はとにかく忙しかったですね。昨日やっと桐原書店の「なるほど小論文頻出テーマ」の原稿のラストを渡しました。もう2週間前にレイアウトが全部終わっているのですが、最後に直しが入ってしまいました。(というのは、ある高名な先生のご説にどうしても納得がいかなかったので、その文章を引用してやや批判的にコメントしたのです。そうしたら、「批判するのなら、掲載しないでくれ」とクレームが来てしまった。それで書き換えねばならなくなったのです。

 本当は私は、こういう相互批判はオープンにした方がよいと思います。「情報公開」は、役所や医療機関だけに任せる話だけではない。自分が出版・公表した本なのだから、それに対して意見や批判が他者からあっても、とりあえず受容するのが筋だと思うのです。自分が正しいと思ったら、反論すれば済むことです。それが書き手としての責務だと思う。

 ところが、日本では批判されることをすごく嫌がるみたい。批判は文句だと思っているのか、無視するか、圧力をかけて公表させないようにするなども多いと聞きます。その代わり、おかしいと思っても相手の批判をしない。いつの間にか、読者に対して、書き手が自分たちの権威を守るという共同体になってしまっているわけ。これはあまりよくないと思うのですね。書き手が第一に考えるべきは読者の利益で、そのお客に間違ったことを教えてよいという話はない。至らない点を指摘されたのなら、私なら感謝するだろうと思うのですけど、そうはならない。残念です。

 今回は結局書き直すことにしました。一応学習書という体裁ですから、批判が主ではないと思ったからです。でも、相互批判を抑圧するような社会に明るい将来はないと思う。他からのコメントが取り入れられてこそ、質の向上も出てくるからです。批判やコメントにクールに対処して質を改善する公平な社会に、はやくなって欲しいものだと思います。)

 さて、ここでお知らせを一つ。vocabowでは、今年の秋から来年の適性試験用の講座を開講するとお知らせしました。ごめんなさい、実はちょっと作業が遅れています。  適性試験用の問題を作るスタッフがチョー多忙になってしまったのです。来年、新しい適性試験第一部用の参考書を準備中のためです。この本、たぶんすごく画期的な本になります。スタッフも気を入れて頑張っているので、同時進行の適性試験用講座の執筆が遅れ気味です。年明けには、何とか完成させて、来年の適性試験に役立つようにしたいと思っているのですけど、とりあえず年内は難しい感じです。でも、年末年始に頑張るつもりですので、乞うご容赦!