2004年8月

8月28日

 あっという間に8月も終わり近くになりました。それなのに「三日坊主」は8月4日から全然書いていません。ごめんなさい、忙しかったんです…って、最近こればっかりですね。
 でもね、本当に忙しかったんですよ。8月始めに「法科大学院志望理由書」の本を出してから、Z会出版の「社会科学系小論文のトレーニング」の方にかかっていたのです。これがギリギリまでもつれ込んで、16日にデータ渡しというスケジュールになってしまった。17〜18日と福島の須賀川桐陽高校で講演会。一方、16日〜20日まで代々木ゼミナール津田沼校で夏期講習。16〜18日は夜に津田沼を出て深夜に須賀川に着き朝講演してから夕方津田沼に戻り、などという無茶なことをやっていました。新幹線がなかったら、こんな芸当は出来ない。日本の交通技術に感謝!です。20日過ぎてからはどうしてたって? 講談社現代新書の原稿執筆。これがなかなか進まない。学習書ばかり書いていると、そのリズムになってノリが違ってしまう。でも、進んでいますけど…
 ヨットマンのムッシュ・カワモトはヨットに乗りに行っちゃうし、学生の半分は夏休みでヨーロッパとか行っちゃうし、猛暑の夏、残ってくれたスタッフのヘルプに助けられながら朝から添削と原稿書き。人生って何のためにあるのだろう…といらぬセンチメンタリズムに浸ってしまいました。とても、三日坊主が書ける心境ではないのです。

 ところで法科大学院の方も少しずつ志望理由書から小論文対策の方に移ってきたみたいですね。いいことを教えましょうか? 東大、京大慶應などのいわゆる名門大学の小論文試験は、課題文に限っていうと法学未習者が課される小論文と、ほぼレベルが同じだということです。これまでvocabowでも、受験対策として時々利用させてもらっていたのだけど、実際解いてみると共通点が多すぎる!
 Z会出版の「社会科学系小論文のトレーニング 12の理論モデル」は大学受験の問題を扱っているのだけど、社会科学の最新の理論を元にして、よく出そうなトピックを手際よく料理する方法を解説したものです。内容のレベルは落としていないのだけど、述べ方はやさしくしてある。だから、法科大学院の受講生にも十分役立つ。とくに社会人で、現代の社会理論に詳しくない人は必読ですね。フーコー、ウォーラーシュタイン、アンダーソンなどすぐ応用できそうなビッグネームがずらり。こういう理論を応用できると、君の小論文はひと味違って見えるぞ!…と、まだやっぱり学習書のノリが残っていますね。反省します。

8月5日

 8月4日になり、早稲田の出願が終わり、うねるが如き添削の大波が終わったところ。やっと一息つきました。先週の土曜から今週の火曜まで、イヤー大変でした。私は朝から晩まで毎日添削漬け。それまで無理をさせたので、有能な相棒川本氏はとりあえすお休み。私は、書いていた原稿がやっと一段落したので、彼から引き継いで、志望理由書最後の追い込みをやっていたというわけ。皆もう少し早く準備しましょうね。その方が自分も安心だし、私もあわてないで済む。でも、そうはできないのが人間の常なんでしょうね。
 こちらも、受講者の将来がかかっているかと思うと、間近に迫っていても、むげに断れない。もう胃が痛くなったり、心臓がドキドキしたり…。川本氏は夏休みをとって6日から11日までヨットに乗りに行くのだそうです。いいなー、添削のリハビリテーションかー。私はとてもまだ休めるような状態じゃありません。

 この間、電車で昔の友人に会いました。見ると顔が真っ黒。どうしたんだい、と聞くとスキンダイビングを始めたのだとか…。今度大島に行ってくるそうです。そう言えば、大島は昔私も潜りに行ったことがある。竹柴桟橋から、船に乗っていくのは、やはりいい気持ちでしたね。実際に潜るとあまり面白くはなかったけど…。

でも、それで思い出しました。私はけっこう島々をスキューバ・ダイビングをして歩いているんですね。八丈、沖縄、奄美、パラオ、バリ、メキシコ、ジャマイカ、ケニアなど。沖縄だって、宮古・座間味など離島ばかりいろいろ巡っている。海中の熱帯魚のキレイな風景は、もうしっかり目に焼き付いているわけ。きっと死ぬときは、熱帯魚と泳ぐ夢を見ながら往くんだろうな。ある年なんか、一年に二ヶ月間は海に入っていた。その時は自分を「海の男」だと呼んでいました。

 ダイビングの気持ち良さは、人により違うだろうけど、私はやはり重力からの解放感でしょうか?地上だといつも自分の体の重さを感じる。でも、海の中に行くと、その重さが消える。肉体がなくなると、心も軽くなるのです。そのホンワカした感じがよい。そういうのは浅い海がいいですね。一度奄美大島の「海中公園」というポイントを潜ったことがある。赤・青・黄色・紫などカラフルなソフト・コーラルの天国という感じでした。あるいは、宮古で潜ったときにカマスの大群が出会ったときなど、自分も魚の目線でぽかぽか浮かんでいて気持ちいい。

 もちろん、スリルもけた外れです。一度、パラオで潜ったときは、海が滅茶苦茶荒れていて、ボートから潜行した途端に海流に捕まってビューッと流された。もうジェットコースターのような速さなんだけど、それが途中で天地左右がグルグル回されたり蛇行したりするから、恐怖と興奮は100倍違う。海中に突っ立った岩の横をすり抜けるときは、たたきつけられたら、もう一巻の終わりです。後で聞いたら、同じ日に潜っていた他のグループの人が二人死んでいたとか。

 アフターダイビングも南の島だとファンタジックになります。私の泊まった島では、満月の夜になると、山蟹が産卵をしに浜に出てくる。その夜は、ちょうど満月だったので、バンガローから見ていると、いるわいるわ。もう地面が動き出すかと思われるほどびっしり出てきている。それを次々に棒で殴りつけ、手で掴んでは袋に入れる。100匹ぐらいは取りましたね。次の日、それを宿のコックさんがすりつぶしてスープにしてくれたのだけど、心底美味かった。そういえば、ケニアに行ったときも、地元のビーチボーイズ達が満月の夜に帆船に乗ってクルージングに連れ出してくれた。夜釣りをして、満月を眺めて、骨だらけの魚の唐揚げを苦労して食べて…。
 でも考えてみれば、私もやっぱりよく遊んでいますね。もしかしたら一生分遊んじゃって神様からもうお前の分はおしまい、と言われているのかも知れない。そんなことを考えながら、添削をしていると、今の自分の境遇との違いに唖然とします。ずいぶん遊んだ。そして、今はこんなに仕事中毒だ。この矛盾はどう解決すればいいのだろう? 川本クン、私の分も十分楽しんでくださいね!