2005年4月
4月28日

適性試験直前演習コースいよいよ開講!

 法科大学院適性試験直前演習コースがついに開講しました! vocabowの総力を挙げて作ったコースです。適性試験に不安を感じている皆さん、直前期に様々な問題を集中的に解いて、今までの知識を確認し、さらなる学力のアップを目指しましょう。

 『[推論・分析力]解法の論理ブック』『[読解・表現力]解法の技術』との連携もしっかりとつけて、今までの知識の総ざらいができるようにしました。いわばvocabowで作った上記二冊の参考書のオリジナル問題集です。愛用してくださいね。

 もちろん、解説は分かりやすく書かれていますし、理解できないところがあったら、vocabowスタッフが質問にも丁寧に答えます。適性試験まで後少しですが、頑張りましょうね! 開講したとたん、どっと受講生が押し掛けました。責任の重さを痛感します!

騎馬オペラの感想

 さて、後半はちょっと息抜き。昨日、忙しい執筆の合間を縫って、例の騎馬オペラ「ジンガロ」を見に行ってきました。東京都現代美術館の横に特設会場を作って上演していました。

 内容は、期待に違わぬ…ヒドイ(!)出来でした。もう、金返せ! と言いたいくらい。フランス大使館、朝日新聞などそうそうたる所が協賛・後援しているらしいけど、皆、「文化」や「芸術」という言葉にだまされているんじゃないの?
 
 内容は、普通の曲馬団です。ぐるぐる会場の中を回る馬に、団員が乗ったり下りたり曲芸をしたり、別に珍しくはないのだけど、そういう所はそれなりにちゃんと訓練しているな、という感じで見ていられる。

 ただし、後は困ったものです。チベットのお坊さんの声明みたいな音楽に載せて、チベットの仮面と衣装を付けた人々が出てきて、チベット風の踊りや歌を歌ったり、馬に乗ってちょっと複雑なステップを見せてみたり…。神秘的?なムードをかき立てようと読経が延々と続き、あくびが出てしょうがなかった。周りの人も同じような反応。暗転が多すぎるし、一つ一つのシーンがぶつ切れでワン・アイディア。これからどうなるのかな、と思うまもなく終わってしまう。

 つまり、このショーは気取りが主になっているのです。チベットという珍奇な東洋風俗を借りてきて、変哲もない曲馬団に味付けをした、ということ。ヨーロッパのスノッブにはモテるのだろうけど、「東洋の神秘」は日本の方が本場だ。ちょっと仏教風の味付けをしたぐらいで見せ物になると思っているのなら、東洋人をバカにしないでもらいたい。 見せ物としては、ボリショイサーカスの方が気取りがないだけ、数段楽しい。

フランスのスノビズム

 前も書いたかもしれないけど、フランスの異国趣味は、ちょっと鼻につくところがある。以前、パリのオペラ座でストラビンスキーの『春の祭典』の復刻版というのを見たことがあるけれど、これがあのニジンスキーの踊った歴史上有名なバレエかと思ってあきれかえったことがあります。

 衣装も振付けも、まるで熊祭りなのです。こういったからと言って、アイヌの儀式をバカにしているわけではありません。お金のために、いかにも「未開」という感じでショー・アップされたショーのことを言っているのです。『春の祭典』も自分たちが「未開の人々」の踊りを取り上げることで、文化にしてやる、という傲慢さが感じられる。見ていて、その俗っぽさがたまらなかった。それでもオペラ座はスタンディング・オペーション、新聞の劇評はベタボメ。「パリの芸術愛好家は頭がおかしい!」と思ったものでした。

 太陽劇団の時も、フランスの有名前衛劇団と言うことで期待していったのだけど、文楽の動きを取り入れた歴史劇だとかいう話だった。なるほど文楽風の動きは完璧だったけど、肝心の芝居が何をテーマに、何をいいたいのか、さっぱり分からない。まったく胸を打たないんですね。文楽風の動きで、目先を変えただけ。

 結局、これは単なるデカダンスなんですね。本質ではなく、表面の方でいろいろ工夫する、その物珍しさが客を呼ぶという構造が確立しちゃっている。民族文化が、出し物の権威を高めるために利用されているのですね。


包装だけの世界
 比喩的に言うと、これは包装の世界です。中身はどうでもよくて、その包装に凝る。そういえば、パリでは肉屋に行っても、肉をきれいに、まるでお菓子のように包んでくれる。魚屋では、生きの悪い魚をキレイに見せるために横にチューリップが飾ってあったりする。

 ジンガロでも、待合室にスポンサーのエルメスのお店が入っていて、馬の鬣で作られた限定アクセサリーを高価な値で売っており、人々が記念に買っていく。別の売り場では一切れだけのチョコレートを1000円で売っている。ちょっとあきれてしまった。それをきれいに包装して、フランス語で何か書いてある。ムードだけで中身は希薄。しかし開演を待っている客は、他にすることがないのか、記念用にと、こぞって買っている。

シンプルを嫌う世界

 馬は走っているのが一番きれいで素敵なのに、そういうシンプルなことをやらないで、妙な「哲学的」ないし「思想的」ムードを漂わせようとする。チベットはチベットで純粋に味わわせてくれ! フランス人が異国趣味で適当に利用するのは止めてくれ! 利用するなら、せめて自分なりに消化して欲しい!そのまま素材を使って、目先を変えて自分の商売のネタにしないでほしい!

 この頃、フランスはアメリカのブッシュと張り合っているらしいけど、こんな誤魔化しをやっているようじゃ、ブッシュには相手にされないだろうな……と怒りの発作に駆られた、この頃珍しいパフォーマンスでありました。

4月16日

 あっと言う間に桜も散ってしまい、あたりは新緑であふれてきました。開花宣言が出たり引っ込んだりしたわりには、今年の花はみごとな咲きッぷりでした。

 気が付くともう四月も半ばになってしまいました。ボカボで開講する予定の「法科大学院 適性試験」直前演習コースの作業が今急ピッチで進んでいます。もう内容はできているのですが、わかりやすさ・ヴィジュアルなど最後の追い込みにかかっているわけです。4月26日頃には開講できると思います。きっと他にはない画期的な演習講座になるはずです。HPに案内が出ていますので、見てください。

 さて、私は16日から21日まで、ちょっと東京を仕事で離れます。その間、メールは見られるように設定する予定ですが、通信事情の関係で東京にいるほどは上手くいかないかもしれません。この間に課題を提出する方、または受講申し込みをなさる方は、いつもより少し時間がかかるかもしれません。もちろん、なるべく早くレスポンスはいたしますが、ご容赦下さい。

4月5日

 もうすぐ新学期ですね。目の前の桜も咲き始めました。今日も保育園の子供達が桜の下で遊んでいます。子供・新学期・桜、この三点セットは日本人にとっては固定観念ですね。欧米に合わせて、新学期を九月始まりにしようという動きもあるらしいけど、桜がないのは、やはり抵抗があるのじゃないかな?
 
 でも、今年は花の咲き方が例年とは違います。例年は、まずコブシが咲いて、それから桜と白木蓮、さらにはユキヤナギ、山吹という順番のはずが、まずコブシと白木蓮が先行し、桜とユキヤナギと山吹が同時に咲いている。桜も最初にソメイヨシノで後からヤマザクラのはずが、順序でヤマザクラが満開で散りかけ、ソメイヨシノはまだ四分咲き程度。他の花と同時だと、桜のありがたみも何だか少ない。自然の方から「世界標準」に合わせろ、とでも言っている? まさかね。

 さて、vocabowでも今春は変化があります。『法科大学院適性試験[推論分析力]解法のための論理ブック』(実務教育出版)を出版しましたけど(そろそろ書店に入っていると思います)、それに対応した問題演習コースを開講するのです。去年から予告していたのになかなかやらないからどうしたのか、と思っていらした受講者の方も多いでしょうが、準備がけっこう大変なんですよ。
 
 もちろん、いつもの通り出版でバタバタしていたのもあるけど、問題を創るのは大変なのです。「攻略ブック」などで解説をするときは、さらさらできるのだけど、一から問題を創るとなると、ムチャクチャ手間がかかる。去年の「第二部読解表現力・解法の技術」の時も苦労しました。

 他の予備校の適性試験対策講座で使われている問題を見てみると、今まで適性試験で出た問題の単なる焼き直しという例が目立ちます。ちょっと数値を変えただけだったり、設定を変えただけだったりという方法を使っているわけです。これじゃ実力が付きませんよね。

 今回のvocabowの講座で使う問題はひと味もふた味も違う! 第一部は『解法のための論理ブック』を書いたスタッフを中心として、すべて完全オリジナル問題を用意しました。これからの適性試験の傾向を占う内容になると自負しています。難度調整・内容チェックも厳密にするだけでなく、『解法のための論理ブック』との対応もバッチリ。解説を見るだけでなく、そこからの発展も『論理ブック』を見ればすぐ分かります。

 第二部も多彩なソースから、『法科大学院適性試験第二部・読解表現力・解法の技術』に合わせた出題をしています。第二部には定まった方法がないと思いこんでいる人が多いのですが、文章理論に基づいてで解けば、簡単に処理できる。そういう努力をしないで「この方法はすべての問題には使えない」などと文句を付ける人が時々いますが、初学者にありがちな現象です。まずは、方法に従ってやってみましょう。その上で、自分なりの工夫が加えることができれば、実力はきっと上がっているでしょう。

 新講座のコンセプトは、良問を徹底的に演習し、徹底的に解説を読み込む訓練をすることです。第一部では論理学の基本との接続を丁寧に、第二部では基本解法の徹底を軸に、シンプルだけど中身が濃くて画期的な講座だと自負しています。遠隔地にいて予備校に通えなかった方、今までの指導法に満足できない方、直前に今までの知識を整理しておきたい方、真に効果ある演習をしたい方、などにお勧めです。WEEK1の開始は4月中頃になりそうです。もう少し、待っていて下さいね。

 ところでずっと懸案だった講談社新書はいよいよ六月に出版されることになりそうです。第10作目、節目になる「問題作」ですので、こちらも乞うご期待!