2005年5月

5月27日

 三日坊主をこの2週間ほど更新できませんでした。法科大学院適性試験直前コースの仕事がチョー忙しかったためです。適性試験が1ヶ月先にせまり、立て続けに申込者がありました。受講者たちへの講評、真剣な質問に応えるのに大忙しだったのです。

 まさに体力と気力の勝負! という感じです。しかし、苦労のかいもあって、受講者の点数は確実に伸びています。中には2回ぐらい受講しただけで第1部の点数だけで10点以上伸びた人もいる。「解法の論理ブック」「解法の技術」との連携がうまくいっているようです。コースの問題を解きながら、自分の知識の足りないところを確認でき、さらに知識の習得に拍車がかかる、というコンセプトはばっちり当たったようですね。

 やはり努力は裏切らない。自分に厳しくあくまで追求する習慣をつけていけば、短期間でも十分効果があるのがわかりました。適性試験まで後少しですが、きっと受講生たちはいい点数を取ってくれると信じています。適性試験はまだ自信ないなーという方! これからでも十分間に合います。vocabowの適性試験直前演習コースで必ず点数はアップするはずです。頼りがいのあるスタッフが皆さんをサポートしますよ。

 この波が一段落したら、私は講談社の最後の追い込み。それと、法科大学院小論文参考書。それが終わったら新企画が束になって迫って…いやいやあまり先まで考えるのはよしましょう。今は目の前の課題を楽しみつつ身もだえ(複雑だなー)、乗り越えるのみ。

 そういえば、6月から7月にかけて、高校での講演ラッシュが始まります。埼玉、福島、山形、長野などあちこち回ります。環境が変わって、少し気分転換になりそうです。全国の高校生諸君、待っていてくださいね。正しい小論文の書き方覚えましょうね。身につけば一生の財産です。勝ち組、負け組なんて心配はいらなくなる。大学受験だけでなく、更に高度な大学院受験、就職試験や面接、それに仕事の現場でも企画のプレゼンテーションにと、小論文の技術は様々な場面で使えるのですから。自分の考えを自信を持って表現でき、他人を説得する技術を是非モノにしてください。

5月10日

 さて、ゴールデンウィークも終わり、初夏というか梅雨というか、日に日に緑が濃くなる季節になりましたが、皆様いかがお過ごしですか? 今日は、法科大学院受験を目指している方たちからたくさん質問を受けましたので、もう一度ここで受験対策を確認したいと思います。もちろん社会人入試、大学入試の方にも共通の部分は多いので参考にしてください。

法科大学 適性直前演習コースについて
 vocabowも法科大学院適性試験直前演習コースを開講しました。開講したとたん、すぐ申し込みが続き、この講座の需要を実感しましたね。みんな勉強はしているつもりだろうけど、不安を感じているわけです。

 この講座では、先に私たちが刊行した「解法の技術」「解法のための論理ブック」などとの連携を強めつつ、適性試験とほぼ同じ分量の問題を毎週解いていく、というハードなコースです。毎週、20題もの問題を解いて、50ページを超す解説書を読み、質問をする。うまく解けなかったところは、「解法の技術」「解法のための論理ブック」の該当個所を読み直す、という連続ですから、けっこう大変です。

 でも、こういう時期を通らないと、急速に力は伸びません。前に、予備校講師の先輩の先生と話したことがあります。彼は実験物理が専門なのですが、「人間本当に集中できるのは一ヶ月だよ」と言うのです。「その間に何かヒントを掴めないと、体力ばかり消耗する」。

 たしかに本当に集中すると、他のことは見えなくなり、ものは食べなくなる。体力は確実に減る。その時間との勝負が結局ポイントなのです。「ダイエット効果としては、勉強に集中するのが一番良いね」と笑っていました。逆に、その一ヶ月でヒントを掴むと、以後が楽になる。勉強は、何から何まで全部教わると言うことではありません。そんなことは不可能です。自分で考えられるために、いくつか道具を手に入れるということなのです。昔、ドラゴンクエストというゲームがあったけど、ちょうどそんな感じですね。

 経験を積む毎に、自分の使える道具が増えていくわけです。道具も大切だけど、それを使う自分の工夫も大事です。もう開講してWeek2まで行っています。かなり成果の出ている人もいます。これからが楽しみですね。

志望理由書と小論文
 さて、今度は志望理由書と小論文の対策です。毎年、この時期になると「適性試験の後から始めて間に合いますか?」という質問が来る。間に合わなくはありませんけど、早稲田とか中央など志望理由書の提出が早いところはかなり忙しくなります。できれば、適性試験の前に一度添削を受けておくと感じが分かるのです。だいたい5-6回で一つの学校向けのものが完成します。後は、そのマイナーチェンジをすればよいのです。

 わりと簡単に考えている人が多いけど、自分の感じたことをそのまま書くだけでは、志望書にはならない。法曹との接合のところが、政治家の所信表明みたいになってしまう人が多いのです。冷静に法律・法曹の社会的役割を考え、その中で自分が何をしたいのか、位置づけるのは結構大変です。自分と法曹の適合などを考えて悩む。そういうプロセスが大事なのです。

 一方、小論文の方はvocabowでは5回の添削となっていますが、実ははっきりとレベルの向上が見えるのが、だいたい10回程度添削を受けたあたりです。私は何百人(もう何千人かな?)も見ていますが、この経験則はだいたいあてはまる。だから、小論文のキツイ学校、たとえば慶應や国公立を目指す人はそのつもりで計画を立てると間違いがないと思います。これは法科大学院受験についてだけでなく、どの受験にも共通していることです。

 最初の2-3回は皆真っ赤に直されるのでビックリする。しかし、そこからが勝負ですね。4回5回と必死になって書く。でも評価はなかなかあがらない。焦って本を読んだり考えたりする。ここが大切なのです。大事なのは、最初の評価より継続なのですね。去年の例でも、最初の評価はひどかったが辛抱強く提出し続けた人たちが、結局合格している。逆に、最初の評価がよい人が侮って失敗した例もある。

 これもよくある質問なのですが、普通の予備校の小論文の授業には講義があるのに、vocabowにはないのか、というものもあります。講義の部分はなくても大丈夫なのです。なぜなら、小論文で一番大事なのは、まず論文というスタイルになることだからです。日本の教育機関では、論文という文章スタイルを教えないので、皆ひどい文章を書きます。これは、学者でも同じこと。自分流で書くので、文意不明瞭になってしまう。海外の大学では、日本人学者は論理的文章を書けない人が多い、と言っているらしい。vocabowで採用している方法は、私がシカゴ大学で学んだ「論文のグローバルスタンダード」です。指導スタッフ全員がこの方法で添削しますから、確実に論文の形になります。それを習得するのに数回かかるのですが、一度わかればどんな場面にも応用が効くのです。

 次に知識ですが、予備校で教えているようなことは、大部分私の書いた本にあるか、その内容に達しないものが多いのです。もちろん、拙著を超える範囲については、読書指導もしますし、その内容についての質問も受け付けます。しかも司法試験予備校の場合は、講師のバックグラウンドのせいか、細かな法解釈に入りすぎる傾向が強い。ロースクールの小論文では法解釈より、法哲学・法の社会的機能、時事問題の分析などが多い。そういう場合は、法学そのものより社会科学の広範囲な知識を持っていることが必要です。幸い、vocabowにはそういう分野が得意なスタッフが多い。より深いところまで入った添削をしますので、それがそのまま「講義」になるわけです。受講された方は皆、添削が内容にまで及んでいることに驚かれます。

 どんなものでもそうですが、とくに文章に関することは時間と手間がかかるのです。しかし、それだけに、そのテクニックは一生使える。学校だって、そのつもりで入学試験を課しているのです。単なる受験技術だなどと侮らないで、正攻法で行きましょう。そういう人になら、vocabowは協力を惜しみません。