FAQ 小論文・よくある質問

FAQ 小論文・よくある質問


Q1: 絶対にVOCABOWの方法で書かなくちゃ、小論文試験は合格しないんですか?

A1: そんなことはありません。東大文3に合格した人が証言していましたが、本番ではずいぶん習った方法から離れて書いてしまったそうです。書く時間も短かく、書き直しの余裕がないから、これはある程度仕方ない。ただVOCABOWの方法を使うと、練習段階でどこの神経を使わなきゃいけないか、どこに気をつけるべきかが、簡単に自覚できる。
小論文は水泳みたいなものです。最初は正しいやり方を習うべきですが、慣れてきたらある程度自分流に崩してもかまわない。水泳の一流選手は必ずしも、模範的な泳ぎ方をしていません。それぞれに癖がある。
 小論文も同じように、ある程度パターンが分かってきたら、少しずつ自分に合うようにスタイルを変えていってかまわない。ただし、うまく書けないときとか、スランプに陥ったときには、元の方法に戻って考えるといいのです。


Q2: よく良い文章を書くには、本をいっぱい読まなきゃ、なんて言いますけど、どんな本を読んだらいいのですか?

A2: 大学受験では、本を読む時間がなかなかとれないんじゃないかな。よく岩波新書がいいなんて言うけど、レベルがバラバラですべてがいいとは言えないね。
 法学系なら、川島武宣の「日本人の法意識」なんてよく出題されるね。おもしろくてためになるのが、
小室直樹の「痛快! 憲法学」とか。小室先生の本はどれも分かりやすくて面白い。精神や心理だったら、岸田秀の「ものぐさ精神分析」はどうかな。
 小論文でよく取り上げられるトピックを手っ取り早く知りたいのなら、文芸春秋の「日本の論点」。ただし、これは政治経済ネタが多すぎる。役に立つのは半分以下かな。後は、私の書いた「論文試験、頻出テーマのまとめ方」(実務教育出版)もある。これは公務員試験のための本だけど、テーマはほとんど大学受験と同じだね。私が書いたのだから、優れた本に決まっています!
 でも、まず新聞を読んだらいいと思うよ。読むページは、第一面より、真ん中の家庭欄、科学欄、夕刊の時評などがいいね。科学の最新話題や高齢化・少子化・障害者との共生など小論文でよく取り上げられるテーマが多い。それから朝日新聞では、第五面に論壇のコーナーがある。署名入りの主張なので参考になります。ただこれも政治ネタが多いね。
 こういうのは一応毎日チェックしておくといい。逆に役に立たないのが「天声人語」などのコラムや「社説」のたぐい。前者は論理構造がいい加減だし、後者は主張が当たり前すぎてつまらない。「新聞の社説を読め」なんて言っている先生がいたら、ちょっと不勉強じゃないかな、と疑った方がいい
 現代文の授業はまめに出ること。問題文では、かなり複雑な用語・思考も扱っている。そういうスタイルで君も文章を書けるといいのだ。お手本になるので、さぼらないこと。


Q3: 発想力が足りないって言われたんですけど、どうやって発想力をつけたらいいんですか?

A3: 発想はね、じーっと考えていたって出てくるものじゃないんだ。独自の発想って言ったって、ゼロから全部自分で考え出すなんて、無理だ。むしろ他人の考えたことが正しいかどうか、考える中で「あ、こう考えればいいのではないか?」ってアイディアが出てくる。そういうアイディアを覚えておいて、出題に合わせて適用する。だから他の人の考えたことをよく知っておく必要がある。
 よく言うことだけど、独創性は隙間産業なんだ。他人が考えたことを知っていて、そのどれとも少しずつ違うことをうまく構成してやる。発想力が足りないって言われるのは、ほとんどの場合、よく言われる代表的意見を知らないことに原因がある。知らないから、自分としては独創的なつもりで、ステレオタイプの(陳腐な、平凡な)意見を書いてしまう。発想が足りないんじゃなくて、単なる無知なんだね。
 発想力がない、なんてクヨクヨ悩む前に、もっと新聞やニュースを見て、代表的な問題や意見がどういうものか、知っておくべきだよ。それに対して、どう違う意見が言えるか知恵を絞る、独創性とはそういうものだ。


Q4: 高校の先輩で慶応のSFCに入った人がいて、「小論文の対策なんて全然しなかったよ。きっと配点基準が曖昧で、合格に余り関係がないんだよ」と言っていました。本当ですか?

A4: それは大きな間違い。私も全然対策しないで入ったという人を知っているけど、よく聞くと、彼はもともと工学部建築科志望で、直前にSFC志望に変わったんだって。建築の本が好きでかなり読んでいたらしい。その時、たまたま建築の問題が出たので、あっという間に書けたそうだ。こんな風に、対策しなかったという人でも、実は何らかの意味でその分野の知識をため込んでいたという人が多い。でも、この方法は何が出題されるか分からないから、効率的とは言えない。
 医学部入試でも、「小論文で差はつかない」なんて言う人もいるけど、単にやり方を知らないだけで、自己の教養のなさを正当化している場合が多いね。だいたい意味がないなら、なんでわざわざ入試に取り入れる必要があるのか。そこを聞きたいね。小論文はまだ日本では歴史の浅い科目だから、そんな馬鹿なことを言うのかもしれない。


Q5: 時間がないので、小論文の参考書をざっと読むだけで、対策にしたのですけど、不十分ですか?

A5: 全く不十分です。文章を書くことは、水泳と同じだと言いましたね。クロールのやり方はこうだよ、と教えるだけでは泳げません。実際に泳いでみて、腕の使い方や足の動かし方を注意されて、はじめて泳げるようになる。
 小論文もいい指導者について、必ず添削指導を受けなくては、うまくなりません。「言葉を扱うには、時間と金をかけなくてはうまくならない」と言語学者の千野栄一も言っています。日本語でも文章語は日常会話とまるで違います。手間暇を惜しまず、勉強してほしいと思います。


Q6: 「小論文は採点基準がはっきりしない」という批判を耳にしました。本当ですか?

A6: それは違います。小論文入試が取り入れられてかなり時間もたっています。採点基準は、どこでもだいたい同じと見ていいでしょう。標準的には次の五つの点を評価するでしょうね。

 1.理解力=出題された課題文やデータを正確に読みとっているか
 2.発想力=陳腐でない新鮮な問題提起・解決・証明などをしているか
 3.構成力=論文として、論理的でわかりやすい構造をとっているか
 4.知識力=現実についての正確な情報を持っているか
 5.表現力=正確で分かりやすい日本語(英語でも同じだが)で書いてあるか

これをABCDの四段階評価、またはA〜Cに+−をつけて、10段階にすることが一般的によく行われています。また点数化の試みもあります。


Q7: 小論文の受験対策は、いつから始めたらいいでしょうか?

A7: 早い方がいいと思います。最低でも一年前からは、添削指導を受けた方がいい。二年あれば、成績が最初悪かった人でも、相当なところまで学力が伸びます。よく直前になって、何とかしてくれと泣きついてくる人がいるけど、問題外ですね。
 私は昔、中国残留孤児の息子さんを教えたことがあります。7〜8年前に日本に帰ってきたそうで、日本語はしゃべるには問題ないけど、書かせるとちょっとたどたどしい。でもがんばり屋で、授業が終わった後もFAXで必ず書き直しを送ってきました。結局FAXのやりとりは、受験直前まで数十回も続きました。結果はもちろん合格。彼の熱心さがよかったのでしょうね。
 とにかく人より長く努力をすること、いい指導者につくこと。これ以外に上達の道はありません。


Q8: VOCABOWでは、ワープロソフトで解答を書かせますけど、本番では手書きですよね。感覚が違って、失敗することなんてありませんか?

A8: ありません。ワープロソフトのいい点は、コピー&ペーストが簡単に出来ることです。そのため、小論文のどこから発想してもいい。これは文章を書く心理的抵抗を低くします。気軽に書き始められ、いくらでも直せ、しかも仕上がりは必ずきれいになる。だから、結果を客観的に判断しやすい。
 これから小論文を書き始めるのなら、まずワープロソフトで書けるようになってください。それで十分に推敲できて、自分のスタイルができてから、手書きを練習すればいいのです。最初は、小論文という文章がしっかり構成できることが、重要です。手書きかワープロかという枝葉末節など、心配する必要はありません。

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