8/30 ●「夏のセミナー」終了! やっと「法科大学院小論文 夏のセミナー」が終わりました。ボカボスタッフ一同肩の荷を下ろして、少しリラックス。今回は受講者が多く、開催日前に締め切りました。これからも、こういうことが続くかも知れませんので、お申し込みはお早めにね。 セミナー受講者は非常に満足してくれたみたいでホッ。「いい先生といい仲間に会えて、今回参加したことは正解でした」というメールを頂きました。こういうメールは文句なくうれしい! ねらい通りの結果だからです。 Real Schoolの良さは実際に教師と直面して授業が受けられるというだけではありません。むしろ、自分の相対的位置が分かる、ということにあるのです。アリストテレスの言うとおり、人間は「社会的動物」なのですね。あるグループの中での位置を確かめずにはいられない。 とくに、大学院を受ける人は大人が多いせいか、仕事で忙しく、いつもは一人で勉強せざるを得ない。どうしても不安になる。自分は今どのくらいの学力なんだろうか、どのくらい勉強すればいいのだろうか、どんな資料を読めば基礎知識が得られるのだろうか? 相談できないので、疑心暗鬼に陥っちゃう。 もちろん、WEBでも、私はそういう人を出来るだけサポートするのですが、Real Schoolになると、今度は「同志」の間での情報交換が俄然活発になる。皆、同じ目標を持っているから、話は高いレベルでもパッと通じるし、悩みを言うとあれこれ自分の経験を話してくれる。これがすごく参考になるのです。 教育というのは、そういう面がなければダメです。教師と学生という縦の関係からも学べるけど、学生同士という横の関係から学ぶことが多い。自分と似たような知的レベルであることが大事です。その間で競争心も湧くし、励みにもなる。今回は、そういう面が体験できるように、いろいろ工夫したつもりです。 受講者たちの志望校は重複していて、実はライバル同士なのだけど、それでも関係は敵同士というよりも、むしろ「仲間」になるというのは、逆説的で面白いですね。でも、自分と拮抗するライバル同士というのが、一番理解が深いのかも知れない。 10月には適性試験対策Start Up!と小論文初級Start Up!が始まります。前にも書いたけど、適性対策だけにかまけて小論文や志望理由書をおろそかにすると、後で大変なことになります。うまくバランスを取るためには、早めに手を打つことです。10月開講の「リアルスクール Start Up!」は有効ですよ。 ●「物語の衰退」から「大きくて粗雑な物語」へ ところで、夏のReal schoolが終わって、久しぶりに新聞をゆっくり見ていたら、8月28日の朝日新聞夕刊に早稲田の鹿島先生が「文学部の解体」について、面白い文章を書いていました。 |
8/24 川下りの夢―三級の瀬 もう八月もそろそろ終わり。気が付いたら「秋来ぬと目にはさやかに見えねども風の音にぞおどろかれぬる」みたいな風情がひしひしとしている。
「夏のセミナー」も残すところ、後2回。終盤戦にさしかかってきました。どこにも遊びに行かないままに、「あっ」という間に夏が終わっちゃったかなーという感じ…。 |
8/18 暑く忙しい夏 はっと気づいたら、もう三日坊主を3週間以上も書いていませんでした。今までの最高沈黙記録です。原因はハッキリしています。忙しすぎた、の一言。とくに早稲田・中央・慶応の出願が今年はほとんど重なったため、7月の最後の週はテンサク・コメント・アンドロイドと化していました。 一度こういうモードにはまり込むと抜け出すのが大変。それから先も延々と添削のし続け。読みかけだったアリストテレスも中断して、ひたすらテンサクしていなければ気が済まない添削アディクト。私は精神にも絶対「慣性の法則」はあると思うな。 しかし、こういうモードになってしまったのは、ロースクール受験者の文章があまり良くないという状況も関係しています。早稲田の申述書は一昨年とほぼ同じ出題で、あまりにも芸がないけど、それに対して受験者たちが書いたドラフトも「あれぇー!」の連続でした。相当できるな、と日頃思っていた人でさえ、一体どうしちゃったの? というような出来が多い。 ロースクールに入るポイントは適性対策だというのが常識になりすぎたのかもしれませんね、適性に時間をかけすぎて、小論文や志望理由書まで手が回らない、という人が多い。そういえば、今年の傾向として適性第一部の点数が第二部よりよい人がぐっと増えた。しかも、去年までは第一部がよい人は第二部も良かったのだけど、第一部だけよくて第二部はメチャクチャという人も結構目立つ。それは第一部の方が勉強しやすいけど、弁護士になってまでパズルやっているわけではないのだから、文章の方ももう少し頑張って欲しいな。 今年は早稲田の申述書は良い出題ではないと思うけど、それでもきちんと書くには、それなりの形式意識も背景知識も必要です。しかし、そういうものを初めからクリアしている人はすごく少ない。指定を良く読んでいない、形式はバラバラ、対応する知識・教養が不足という例があまりにも多い。これで、まともに法律文書が書けるのかしら、とつい心配になる。だからあれこれうるさくアドバイスする。なかなか良くならない。アドバイスの量が増える。必然的に時間なくなる、とこういうわけです。 どんな出題にせよ、読んで恥ずかしくない文章を書くには、ある程度の時間が必要です。私は前から、最低10回は書かないと伸びが実感できないよ、と口を酸っぱくして言っています。来年ロースクール受ける人は、今年の秋ぐらいから飛び飛びでも良いから、小論文の課題をやった方がよいと思いますよ。それをやらないと、また適性後にあわてふためくことになりかねない。完全に出来るようにならなくても、ある程度やっておけば後が格段に楽です。秋から法科大学院小論文対策の講座「小論文Start up!」を開くのはそういうわけです。 まあ、そういう忙中忙の中でも、いろいろやることはやってきました。一つは去年から予告していた講談社現代新書『だまされない〈議論力〉』がついに出版されること。何と7月25日の時点で、その最終校正をやっていたのです。添削と校正のダブル。この世で一番神経使う仕事の両極ですね。HPに紹介を載せておいたので、そこを見ること! 書店に行って買うこと! 問答無用!(なんて、これじゃ議論というテーマと矛盾するけどね…) もう一つは、我が先祖の故郷、群馬県下仁田町に新プロジェクトを準備。その第一回目の作業を6人がかりで8月初旬に行いました。どんなプロジェクトかはもう少ししたらご報告できるでしょう。お楽しみに。あっ下仁田といえば長谷眞砂子に勧められた本が面白かった。『こんにゃくの中の日本史』(武内孝夫著)。こんにゃくって今のIT産業みたいに投機の対象だったんですね。一読をお勧めします。 それから、『小論文夏のセミナー』も現在進行形。受講者が多すぎて、途中で締め切ってしまいました。ギリギリで受講を考えていた方はゴメンナサイ。これから、こういう場合が多くなると思うので、受講の申し込みはお早めに! 講師は私とサクライ君。受講者は学生、通訳、新聞記者、建築士などいつもに増して多士済々、キャリア色々。当然、議論も細部にまで渡り、熱を帯びます。毎回、鋭い質問と笑いが絶えません。 そういえば、HPに新しい読み物が増えたのにお気づきでしたか? 『林はる芽の「ベルリン便り」』。私のお友達の日英仏独と世界を股にかける翻訳家林はる芽女史の連載エッセイです。第一回目は軽く流していただいて、サッカーのジダンについて。それでも、凡百のスポーツ評論とはひと味もふた味も違う集中力と教養の溢れる名文をお楽しみ下さい。 うーん、こんなにボカボは多角経営。これでは、私たち全然時間足りませんよね。今一番欲しいのは、やっぱり時間。それから、あの二十代の頃の不死身の体に戻れたら、と強く強く思います。 |