vocabow小論術 AO入試対策 AOgym

AOgymを推薦します

●森上 展安 (森上教育研究所)

 吉岡友治先生が今こうして作成されつつあるキャリアビルディングのためのWebは随分と重宝なものである。 何しろわが国の場合、学習や学力が学歴と結びつき、学歴は職歴を左右してきたのだから、あまり職歴を考える必要もなかったし、考えてもセンのないことであった。 まずは学習をせよ、まずは学力をつけよ、という一言につきた。

 しかし、1990年代を境にこの予定調和的というか、産業資本主義的というか、はたまた学力選抜トコロテン式というか、職歴を学歴が決定するという図式はにわかに怪しくなってしまった。 理由はいくつかある。が、要はポスト産業資本主義と称される時代に入り、「何よりもお金が貴重だった時代」から「お金が追いかける時代」になった(榊原英資『日本は沈没する』)ために、大切なのは「お金」ではなく、「技術」「知識」「情報」(同書)であり、それらに傑出したユニークネスを実現する教育歴になりつつあるのである。

 その意味でどのような教育歴を組み合わせればどのようなユニークネスを発揮しうるかということに真剣に取り組むことが必要になった。

 この新しさはキャリア自体が大きく変動し、教育に要求してくることが従来のそれよりはるかに高度になる一方、はるかに少なくてすむというように二極格差化している。

 また、そういう時代だから何かのための学問ではなく北欧諸国圏では学問のための学問―つまり教養を重視し、人格陶冶を社会合意として追求している。 わが国でも、東大などの入試のセオリーにこの教養の占める位置は決して少なくない。

 吉岡友治先生のキャリアビルディングに関するWebは、この新しい時代における教養や思考の進め方を懇切に示してよく役立つ。特に論理力を磨いてロジカルシンキングを身につけることは、まさに自らの進路を切り抜く武器を手にすることと同じだと気づかされるだろう。



AOgymは他に類を見ないサイトです

●鈴木 勝博 (岩手県立一関第一高等学校教諭)

 多様化している大学入試システムの中で、AO入試の比重が増している。しかしその対策・指導はというと、それほど進んでいないのが現状だ。

 その理由は三つある。第一にAO入試は自己推薦が主だから、あくまで生徒本人が責任を持つべきで現場の教員はタッチすべきではない(しないほうがいい)という考えがあるからだ。第二に、指導するとなるとAOの出願期間に幅があり、かつ選考が長期に渡り大変であるからだ。さらに困ったことに、現役生の場合学校行事が忙しい夏休み前後にそれらの時期が重なり、教員側の校務が多忙で指導しきれないというのが正直なところである。そして第三に、推薦入試は面接・小論文が試験科目で対策がある程度立てられるのに対して、AO入試は志望理由・活動報告が主で、生徒の考えを合格レベルにまで形づくることが非常に困難だからだ。

 私の場合、志願生徒を目の前に座らせ、黒板を使い本人の考えを整理し、その生徒にしか言えない志望理由を引き出し、さらに眠っている可能性を掘り起こし、他の受験生を圧倒する志望理由書を作るまで1週間を要する。1人の生徒を確実に合格させるには、これくらいの時間は必要だ。しかし複数の生徒を同時に指導するとなると、物理的にかなりの困難を伴う。

 そこで生徒に何かの参考書を薦める訳だが、百家争鳴、玉石混淆でこれぞというのがなかった。ところが、2002年に吉岡友治氏の『なるほど小論文講義10』が登場した。以来私は生徒に「本物の論理」と「小論文の書き方」を教える本として薦め続けている。そしてその効果は十分にあった。これまでの経験からして『なるほど小論文講義10』は、自分独自の意見を書く「書き方」を教えてくれる唯一の参考書である。また、吉岡氏はボカボ小論術というインターネット小論文講座を主宰していて、その中で上記の書き方を惜しげもなく公開している。参考書だけでなく、インターネットのホームページの情報も現在受験生が入手できる最良のものである。

 その吉岡氏が志望理由書・自己評価書の添削指導を開始する。名付けて「AOgym」である。氏の指導は「こうすれば合格する」式の型にはめた指導ではない。採点者をして「またこの型の文章か」と辟易させるものを作らせないのである。吉岡氏は生徒本人が持っている考えとその芽を大切にし、論理的文章に育てるのである。つまり他の誰でもないその生徒自身の確たる考えが入った相手を説得する文章が出来上がるのだ。この文章指導はAO入試のみならず、推薦入試の小論文にも及ぶ。

 このサイトを開いてみると、「大学から仕事へマップ」という機能を含んでいる。ここをクリックすると、それぞれの学問分野の案内そしてその学問からの進路案内がある(よくある「進路適性検査」はここで終わる)。さらに圧巻なのは「プロたちの仕事部屋」というページに進むことができる点だ。そのページには吉岡氏ご推薦の「プロたち」の紹介とサイトのアドレスがある。そこをクリックするとプロたちの仕事部屋にアクセスできるのだ。

 現在ではウェブの力を借りれば、自分の部屋にいながらかなりの情報を入手することができ、知的生産ができる。しかし「内田樹(『下流志向』の筆者)の研究室」のような良質なページを探り当てるのが至難の業なのである。ところがそれらの珠玉のブログへこの「AOgym」からアクセスできるのだ。はじめから宝のありかを教えてもらえるのだ。

 最後にもう一つ。「Book探検隊」をクリックすると、それぞれの学問分野ごとにお薦めの本の案内が開かれる。この読書案内も氏の面目躍如である。桐原書店から出ている吉岡氏著「現代文長文演習」で、解答だけでなくテーマ解説と読書案内も付加するという斬新な構成で、現場教師を感嘆せしめたのと同様の仕事である。受験生にとって良質の本に出会うのは一生を左右するほど重要なことだ。しかしそういう機会はめったにない。だが優れた読書案内があれば、われわれは時間を無駄にすることなくそれに出会えるのだ。

 「プロたちの仕事部屋」「Book探検隊」のコーナーは、志望理由を形作る際に、また小論文を書く前の知識の蓄えとして非常に役に立つ。換言すれば、進路を見失い大海で波に翻弄された小舟が灯台の灯りに導かれて港に入るようなものだ。

 一つのサイト内で、AO入試・推薦入試に必要な全てがまかなえる。「AOgym」はそういうサイトである。

 悩める受験生の皆さんに(あるいは指導者の皆さんに)、このサイトをお薦めする。